犬が行方不明になった
ウチの犬が行方不明になった。山に入ったまま行方が分からなくなったのだ。
シカを追い立てるために、朝に数人の人と、ほかの1頭の犬と共に山中に入って行き、もう1頭の方は昼に入った場所と全く違う場所から降りてきたところを回収したが、同行していると思っていたウチの犬はその犬と一緒ではなかった。
リード無しでも人や車からそんなに離れない犬で、シカやキツネを追って行っても、長い時間戻ってこないということはなかったため、むしろ一行に最初はついて行っても、途中で戻ってくる心配をしていたぐらいだ。
その日は暗くなるまで可能性のある地点を見回ったが、とうとう犬を見つけることはできなかった。
翌日も明け方から探し回ったが、どこにもいない。捜索範囲も広げ、何人か一緒に探してくれたがどこにもいない。
こんな事態になると、どうしても、死という最悪の事態も含め、様々な悪い状況を想像してしまう。
朗報が入ったのは、山に入ってから26時間後になる、その日の昼前だった。探してくれていた1人から連絡が入り、川の対岸に見えると言う。慌てて現場に駆け付けた。
たしかに対岸に見えていた。2人で手分けしてようやく回収できた。足跡を追って山中に入ってくれていた人など、協力いただいていた人達にすぐに連絡を入れた。
一週間前のできごとだが、それ以降山に入る時には、GPS首輪を装着するようにしている。全く何の情報もない今回のような状況はとてもつらかったためだ。GPSは数キロ離れた地点でも、犬の動きを教えてくれる。ただ、かなり値が張るのが難点だけど。
山中で犬に何があったのかはいまだに不明だが、仮に道に迷ったり、同行者(犬)からはぐれたりした場合には、通常は出発点に戻ってくるはずなので、何らかの理由でそれができなくなったと思われる。そして2日間にわたって山中をさまよって、降りられるところから山を降りてきた所で目撃されたのだろう。
私にとって、犬が不在の一晩はハンパない喪失感だった。山中で困っているだろう犬のことを思うととても切なくなるし、どうしてもいろいろな悪い想像をしてしまう。
今これを書いている際に、私の足元でぬくぬくと寝ている犬を見ていると、犬にとってはもちろんのこと、私自身にとっても、見つかって回収できて、本当に良かったという思いでいっぱいだ。
しかし犬を山に入れるのを止める選択肢はない。猟犬にとっての一番の生きがいや幸せは、獲物を探したり、追い詰めたり、それらにつながる行為をしている時だと思うからだ。
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