気楽にブログ

独りと犬1、猫1で暮らしている中で気づいたことや考えたこと、使ってみたものなどを紹介してます

思いがけない猫の出産から想う

ウチの猫は代々捨て猫を引き取っているが、今の猫はウチで産まれている。

かなり前になるが、知り合いの倉庫で野良猫が3頭の子を産んだので、誰か引き取って育ててくれる人はいないか、という相談を受けた。

前の猫がいなくなって間もなかったので、自分も引き取り手の候補にして同僚と共に見に行ったところ、その時点ですでに1頭が死んでおり、残る2頭もかなり衰弱していた。

その2頭がオスとメスであったため、同僚の希望のオスと私の希望のメスということで、めでたくそれぞれが引き取ったのだった。

ウチに来たその子猫はすぐに元気になり、家じゅうを走り回ったり、すでにいた犬と仲よく遊んだりしていたが、家の外には出さなかった。前の猫が外でいろいろとやらかしたり、こちらの都合と合わずに家に入れられなかったりしたためである。

ウチに来て1年半ぐらいの時だろうか。外のデッキにつながるドアを開けたスキに、そのドアから猫が外に脱走してしまった。慌てて外に出て追いかけたが、初めての野外の世界に緊張してしまい、呼んでも逃げるばかりで全く近寄ってこない。

やがて捕まえるのはすぐには不可能と思い、捕獲はあきらめて脱走したドアを少しだけ開けて待つことにした。

2,3時間後に警戒しながらも、そろそろとドアから顔を出し、何とか中に入ってきたところで、刺激しないようにしてドアを閉めた。この猫が外へ出たのは、結局この後も含めて生涯これ一回きりだった。

そんなことがあってから2カ月後ぐらいだろうか、1週間ほどの出張が入り、いつものようにエサと水を大量に置き、トイレも大きなものを加えて猫だけを家に残して出かけた。ウチは犬は預けるか誰かに世話を頼むが、不在の時の猫はいつもこんな感じだ。

さて、数日後に自宅に戻ると、私がいつも座っている椅子の上に彼女は寝ていた。お、元気だったか?ってな感じで頭をなでようとした時、そのおなかに何かが引っ付いているのに気がついた。

え!子猫?産んだ?なんで?

理解するまで少し時間を要した。2か月前の猫の外出のことなんて、すぐには思い出さなかったのだ。しかも、出かける前も、妊娠しているなんて全くわからなかった!

産まれた子猫は2頭で、見事な母親似のオスと、父親似のメスだった。父親似というのは、いつも自宅周辺をうろついているオス猫とクリソツだったのだ。まあ、彼は常に縄張りの監視を怠らなかったことによる恩恵を得たということか。それにしても素早い。

それからしばらくの間は、子猫の成長に一喜一憂し、結構楽しい毎日を送らせてもらった。家の中を2頭で走り回り、ごく狭い隙間や小さい穴でも風のようにくぐりぬけていたかと思えば、もう母親のおなかにへばりついて熟睡している。

今から思えばあっという間に大きくなり、オスの方はすぐに母親よりも大きくなって、じゃれつかれた母猫は、かなり本気になって相手をしていたのを覚えている。

この2頭のうちのメスの父親似が、現在我が家にいる猫である。近親交配になるかもしれないので、ますます外には出せなくなってしまった。

母猫の方は昨年死んでしまったが、もともと子猫の時に保護するのがあと1日遅かったとしたら、すでに死んでいた兄弟と同じ運命をたどったに違いない。その猫がぎりぎりセーフで助かり、結局その後8年ほどの生を得ることになった。

8年の生涯でただ一度だけアクシデントで野外へ出て、たまたま巡回していた父猫と巡り合い、飼い主の不在の危うい時に出産して、2頭の生を生み出したことになる。

今、私の脚の上で幸せそうに寝ている猫を見ていると、生き物の生なんて精子卵子の出会いを引き合いに出すまでもなく、その後も含めてほんの些細な偶然の積み重ねであり、生きてるだけで丸儲けなんだなぁと、改めて想ってしまう。

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今の猫と、後ろが母猫